御祭神にまつわる「天岩戸神話」

神代の昔「高天原(タカマノハラ)」という所に、天照大御神(アマテラスオオミカミ)様という太陽の神様がおられました。天照大御神様には、素盞嗚命(スサノオノミコト)様という弟の神様がおられました。

この素盞嗚命様はとても乱暴な神様で、毎日好き勝手な事ばかりしています。
ある時は、天照大御神様の田んぼを壊し、またある時は、大切な馬を織物小屋に投げ込んだりしていました。

これ以上素盞嗚命様の乱暴が続くと、高天原は荒れ果ててしまいます。天照大御神様は、そんな弟神にとても困ってしまいました。

素盞嗚命様の乱暴な行動に困りきってしまった天照大御神様は、ある日怒って岩戸の中に閉じこもってしまいました。太陽の神様が隠れてしまったので、サァ大変。世界中から光が無くなってしまいました。

困った神々は「天安河原(アメノヤスガワラ)」という所に集まり、どうするべきか相談されました。知恵の神様である思兼神(オモイカネノカミ)様を中心に協議した結果、岩戸の前に集まりお祭り騒ぎをすることになりました。

準備万端整うと、さぁお祭り騒ぎです。

天児屋根大神(アメノコヤネノオオカミ)様が歌い、それにあわせて天宇受売命(アメノウズメノミコト)様が踊ると、集まった神々から拍手喝采の大盛況。

岩戸の中の天照大御神様は、そんな騒ぎを不思議に思い、岩戸を少しだけお開けになりました。
「どうして皆、楽しそうに騒いでいるの?」天照大御神様が聞きます。
すると天宇受売命様が、「貴方様よりも貴い神が現れたので、それを喜んでいるのです」そう答えました。

天照大御神様は、どのような神様が現れたのかと思い、岩戸から覗き見ました。するとそこには、確かに光り輝く神様がいます。天照大御神様はとても驚きました。

更によく見ようとした、その時です。

岩戸の陰に隠れていた天手力雄大神(アメノタヂカラオノオオカミ)様が、岩戸を塞いでいた岩を「えいやっ!」と持ち上げて、とり投げました。

天照大御神様が貴い神様と思っていたのは、天児屋根大神様と布刀玉命(フトダマノミコト)様が差し出していた「八咫鏡(ヤタノカガミ)」に映っていた自分の姿だったのです。これには、天照大御神様もニッコリ笑うしかありません。

姿を現した天照大御神様に、集まった神々は大喜びです。こうして「高天原」をはじめ、世界に光が戻ったのです。

(さて今回の原因となった素盞嗚命様ですが、神々が話し合った結果、迷惑をかけた神様達に沢山のお詫びの品を差し出させる罰を科し、さらにはその立派な髭を切り、「天高原」から追放することになりました。)

この一件で活躍された、天児屋根大神様は美声の神様として、天手力雄大神様は力の神様として広く知れ渡るようになりました。この二柱の神様を御祭しているのが、戸明神社なのです。